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名前だけは
ほとんどの人が知っている病気「ぜん息」。
身近じゃないと
「発作的に息が苦しくなる」程度の
知識しかない人も多いでしょう。
具体的な症状や原因など、
ぜん息の基本的な話をまとめます。
Contents
ぜん息とは?
何らかの原因・刺激で
身体の中の空気の通り道=気道が
炎症を起こし狭くなって、
息が苦しくなる「ぜん息発作」が
繰り返し起きてしまう病気です。
「ぜん息」は症状を表す言葉であるという
誤解が根強くありますが、病名です。
日本では年間5~6千人もの人が
ぜん息の発作によって死亡しています。
一般には
「小児ぜん息」がより認知されていますが、
成人しても続いている、または、
成人後に再発・発症する「成人ぜん息」も
近年増加傾向にあるといわれています。
2015年の調査によれば
ぜん息で通院している患者数は、
全国で約120万人、
潜在的な患者を合わせると
約450万人いるとされます。
患者数を人口対比で見ると、
小児ぜん息患者は小児の約6%、
成人ぜん息患者は成人の約3%です。
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ぜん息のメカニズム
気道は、
平滑筋(へいかつきん)という組織で
できた管です。
管の内側には気道粘膜があり、
その表面を気道上皮が覆っています。
気道上皮の内側の空洞が、空気の通り道です。
ぜん息の患者さんの気道は
常に炎症を起こしていて、
粘膜がむくんで腫れています。
そのため、
発作の症状が出ていないときでも
健康な人の気道と比べて
常時狭くなっています。
また慢性的な炎症のせいで気道上皮が剥がれ
敏感になっているので、
少しの刺激で反応してしまいます。
ぜん息発作は、
ホコリやタバコなどの刺激で平滑筋が収縮し、
気道がさらに狭くなるため起こります。
さらに、刺激により痰などの分泌物が増えて
狭い気道を塞ぐため、激しく咳込み、
「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった
呼吸音が聞こえます。
こうした音を
「喘鳴(ぜんめい)」と呼びます。
気道には鼻や喉を含む「上気道」と
肺、気管支などの「下気道」がありますが、
ぜん息は、主に
下気道の気管支の炎症が原因で発症します。
ちなみに
ぜん息は「喘息」と書き、
「喘(あえ)ぐように息をする」事を表します。
ぜん息発作の原因
気道を刺激して発作を起こしてしまう原因を
「ぜん息悪化因子」と呼びます。
ぜん息発作には、
・ダニ
・カビ
・ハウスダスト
・花粉
・動物の毛などのアレルゲンが原因となる
「アトピー型」
・タバコ
・排気ガス
・ストレス
・天候などアレルゲン以外が原因となる
「非アトピー型」があります。
どれかひとつの因子が引き起こすのではなく、
いくつかの因子が組み合わさって
ぜん息発作が起こります。
常時、炎症しているぜん息患者の気道は、
健康な気道なら刺激にならないような
因子によって、
発作を起こしてしまうのです。
小児ぜん息の9割以上がアトピー型、
成人ぜん息のおよそ5割が非アトピー型と
言われています。
ぜん息の治療
ぜん息の治療に使われる薬には、
大きく分けて2種類あります。
ぜん息発作を予防する薬
「コントローラー」と、
ぜん息発作時に使用する薬
「レリーバー」です。
コントローラーとは、
平常時も続けて服用し、気道の炎症を鎮めて
発作を起こらないようにする
長期管理薬のことです。
吸入ステロイド薬や、
内服のロイコトリエン受容体拮抗薬
などがあります。
レリーバーとは、
発作時に気道を広げる作用のある
発作治療薬のことです。
吸入薬、内服薬がありますが、
即効性は吸入薬が上です。
気道は広がりますが
炎症を鎮める作用はないため、
ぜん息の根本的な治療にはなりません。
どちらも、薬の種類は
患者の状態を考慮して選ばれます。
ぜん息発作の頻度や重症度、
これまでの治療、そして年齢などから
今現在に必要な治療法が決定されます。
まとめ
あやふやだった知識を
改めてきちんと調べてみると、
ぜん息が恐ろしい病気であることがわかりました。
「大げさ」
「我慢していればそのうち治まる」
「死ぬことはない」
このような間違った理解で、
ぜん息患者に対して
偏見を持つことがないようにしたいですね。
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