「味をしめるって、どんな“味”のこと?」
「この言い方、相手に失礼にならないかな?」
日常会話や文章でよく見かける 「味をしめる」 という言葉。
何となく意味は分かっているつもりでも、
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食べ物の味と関係あるの?
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良い意味なの?悪い意味なの?
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目上の人に使って大丈夫?
と、細かい点で迷う人は少なくありません。
この記事では、
「味をしめる」の意味・語源・使い方・誤解されやすいポイント・言い換え表現まで、
日本語にあまり自信がない方でも理解できるよう、
一つひとつ丁寧に解説します。
「味をしめる」の“味”は「経験・体験」を表す
最初に、もっとも重要な結論からお伝えします。
「味をしめる」とは、
一度うまくいった経験や得をした体験を覚えてしまい、
「また同じことをすれば、うまくいくかもしれない」と期待してしまうことを意味する慣用句です。
ここで使われている「味」は、
食べ物の味ではありません。
👉 実際に体験して感じた「おいしい思い」や「得をした感覚」
を、比喩的に「味」と表しているのです。
一文で覚えるとこうなる
意味をコンパクトに覚えたい方は、次の一文がおすすめです。
「味をしめる」=
一度成功したり得をした経験を覚えて、同じことを繰り返そうとすること
この定義を押さえておけば、
使い方で迷うことはほとんどなくなります。
「味をしめる」は良い意味?悪い意味?
基本的な評価
結論から言うと、
「味をしめる」はやや否定的・注意的なニュアンスを含むことが多い表現です。
なぜ否定的に聞こえやすいのか
この言葉が使われる場面には、次のような共通点があります。
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努力しなくても、たまたまうまくいった
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偶然の成功を「実力」だと勘違いしている
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楽をした経験を繰り返そうとしている
そのため、
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調子に乗っている
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楽を覚えてしまった
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いい気になっている
といった評価を、やんわり伝える言葉として使われることが多いのです。
強い悪口ではない点に注意
誤解されやすい点ですが、
「味をしめる」は 強い非難や攻撃の言葉ではありません。
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家族や友人への軽い注意
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冗談まじりのツッコミ
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状況説明としての客観的表現
として使われることも多く、
文脈次第で印象は大きく変わります。
使う場面によって印象が変わる言葉
カジュアルな場面
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家族
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友人
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親しい同僚
→ 比較的自然に使える
フォーマルな場面
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目上の人
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上司
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ビジネス文書
→ 皮肉っぽく聞こえる可能性あり
このため、
フォーマルな場では 言い換え表現を使う方が無難です。
「味」という言葉の本来の広い意味
「味をしめる」を正しく理解するには、
日本語の「味」という言葉の幅広さを知っておくと役立ちます。
日本語における「味」の主な意味
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味覚としての味
甘い味、苦い味、濃い味 -
雰囲気・魅力・趣
味のある文章
味のある演技 -
経験・体験の比喩
苦労の味を知る
人生の味を知る
「味をしめる」で使われているのは、
👉 ③ 経験・体験を表す意味です。
なぜ「経験」を「味」で表すの?
日本語には、
経験や感情を“味覚”にたとえる表現がたくさんあります。
よく使われる味覚の比喩表現
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人生を味わう
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苦労をかみしめる
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喜びをかみしめる
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甘い経験
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苦い思い出
これらに共通するのは、
頭で理解するだけでなく、
実際に体験して初めて分かる感覚
を表している点です。
「味をしめる」も、
一度体験して分かった“おいしさ”が忘れられない状態を的確に表した言葉なのです。
よくある誤解と間違った使い方
褒め言葉として使ってしまう
❌「仕事がうまくいって、味をしめたね」
→ 相手によっては
「楽して成功したと思われている?」
と受け取られる可能性があります。
「理解した」「上達した」という意味で使う
❌ コツの味をしめた
❌ やり方の味をしめた
「味をしめる」は、
成功や得をした経験が前提の言葉であり、
単なる理解・習得とは意味が異なります。
例文で確認|自然な使い方
日常会話での例文
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一度遅刻しても怒られなかったので、味をしめて何度も遅れる
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みんなにウケたことに味をしめて、同じ話を何度もする
文章・説明文での例文
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偶然の成功に味をしめ、同じ方法を繰り返すようになった
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人は一度楽を覚えると、味をしめやすい傾向がある
言い換えると?文章で使いやすい表現
意味が近い言葉(やや否定的)
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調子に乗る
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図に乗る
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楽を覚える
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成功体験に執着する
ニュアンスが異なる言葉
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クセになる(中立〜肯定)
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慣れる(否定的意味なし)
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自信をつける(肯定的)
文章では、
意図に合った言葉を選ぶことが大切です。
子ども・日本語学習者にも伝わる説明
小学生向け
いちど上手くいったことを覚えて、
「またやったら、うまくいくかも」と思ってしまうことだよ。
日本語学習者向け
「味をしめる」は、
一度いい経験をして、それをまたしたくなることを表す言葉です。
よくある質問(FAQ)
Q. 目上の人に使ってもいい?
A. 皮肉や注意の意味を含むことが多いため、避けた方が安心です。
Q. 良い意味で使うのは間違い?
A. 間違いではありませんが、誤解されやすい表現です。
Q. ビジネスシーンで使える?
A. カジュアルな場面以外では、言い換え表現がおすすめです。
まとめ|「味をしめる」は“経験の味”を覚える言葉
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「味をしめる」の“味”は食べ物の味ではない
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一度経験した成功や得をした体験を指す
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また同じことを期待してしまう気持ちを表す
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やや注意や皮肉を含むことが多い
意味を正しく理解すれば、
日本語表現の奥深さがより感じられる言葉です。
