普段、何気なく耳にしている
・ばい菌
・雑菌
・菌類
・細菌
・ウイルス
という言葉。
何がどう違うのか?子供に聞かれたときに説明できるように勉強していきましょう。
抗生物質についても少しだけ触れています。病院での診察や処方薬のことが、ほんの少し理解できるようになります。
ばい菌とは?
「ばい菌(黴菌)」を検索すると、
「人体に有害な微生物の総称」
と出てきます。
つまり「ばい菌」という菌は存在せず、一般的に使われる俗語のようなものです。
「有害な微生物」というものには、菌類も細菌もウイルスも含まれます。
微生物は、「目に見えないほど小さい生物」のことです。
ウイルスは細胞がなくほぼ「生物」ではないのですが、「微生物」のカテゴリに入るそうです。
ウイルスとは?
目に見えない「微生物」ですが、細胞を持たないので厳密に言うと「生き物」ではありません。
しかし、遺伝子を持ち増殖するので、「非細胞性生物」とも呼ばれます。
細菌よりも小さく、単体では増殖できず、人や動物=宿主の細胞に侵入して増えていきます。
宿主の細胞を「乗っ取る」形になり、栄養素やエネルギーを横取りしながら、宿主の細胞の働きを妨害しつつ増殖するため、宿主側にさまざまな不調・不都合が生じます。
細胞がないので細胞膜を破壊する抗生物質は効きません。
一見してウイルス性と判断できる疾患には、水ぼうそうやヘルパンギーナなどがあります。
細菌とは?
単細胞の微生物の総称です。
「真正(しんせい)細菌」「バクテリア」とも呼ばれます。
細胞膜があり細胞核を持たず、「原核生物」に分類されます。細胞分裂によって増殖することができます。
生きるには水分が必須ですが、乾燥に強い形をした細菌も存在します。
人体に有害な「病原細菌」以外にも「腸内細菌」や「発酵細菌」などが存在し、生息できる環境は広大です。
細菌が原因で起こる風邪や病気には、細胞膜を破壊する「抗生物質」が有効です。
しかし「風邪症候群」の7~8割はウイルス感染によるもので、抗生物質を投与する意味があるのは2~3割です。
診察室で一見しただけでは、細菌性かウイルス性かはほぼわかりません。原因を断定するには、血液検査などの過程が必要です。
一見して細菌性と判断できる疾患には、溶連菌感染症や扁桃腺炎などがあります。
雑菌とは?
「雑菌」は、
一般人にとっては、ばい菌と同義です。
研究者にとっては、研究対象である微生物以外はすべてその他の「雑菌」になります。
あらゆる微生物をひとまとめにした総称なので「雑草」という草が存在しないように、雑菌という菌はありません。
人によって、立場によって変わる、「増えてほしくないのに勝手に増殖した微生物」、それが雑菌です。
菌類とは?
人間や動物や花など、細胞の中に細胞核を持つ生き物を「真核生物」と呼びます。
諸説ありますが、真核生物は大きく3つに分類されます。
菌類は、動物界・植物界と並ぶ「菌界」に属す生物の総称であり、カビ・キノコ・酵母などが当てはまります。
一括りにされがちで紛らわしいですが、「細菌」とは細胞の構造が異なるため、まったく別の生物群です。
ついでに言うと、
菌類であるキノコは植物ではありません。
葉緑体を持たず光合成もしないのです。
病院で処方される抗生物質について
風邪症候群の7~8割はウイルス性と言われますが、細菌性の風邪になら抜群に効くので、「とりあえず抗生物質を処方する」という方針で受診すると必ず抗生物質を出す病院もあります。
一方で、「“ほぼ、細菌性だろう”とならない限り抗生物質は出さない」という方針の病院もあります。
細菌は自分を守るために、変異して抗生物質に対して耐性を持っていくため、乱用は避けるのが望ましいです。
しかし、かなり悪化してからようやく抗生物質を出してもらえた、という場合があるのも事実です。
抗生物質の効かない細菌が増加している近年の状況を見ると、どちらの方針が正しいかは容易に明言することはできません。
自分の身体や症状、考え方に合った
かかりつけの病院を見つけることが大切です。
まとめ
ばい菌:俗語
ウイルス:非細胞性生物で殆どの風邪の原因。
細 菌:単細胞微生物の総称で抗生物質が効く。
雑 菌:邪魔な微生物の総称。
菌 類:キノコ・カビ・酵母の総称。
ひとつひとつ調べていくと、
まぎらわしい言葉がすっきりしました。