「重ねての質問で恐縮ですが」とは?
ビジネスメールや社内のやり取りをしていると、よく目にするフレーズに「重ねての質問で恐縮ですが」があります。
一度聞いたけれど不安で再確認したいとき、あるいは説明を受けた後に追加で質問をしたいときなど、私たちは意外とよく「再度質問する」場面に直面します。
そんなとき、この言葉を添えることで「申し訳ないけれど、確認させてください」という気持ちを、相手にやわらかく伝えることができます。
この記事では、
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この言葉の正しい意味
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具体的な使い方と例文
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よく似たフレーズとの違い
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受け手の心理や注意点
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英語での表現方法
までを、初心者の方にも分かりやすく丁寧に解説していきます。
「重ねての質問で恐縮ですが」の意味と基本マナー
「重ねて」は「再び」「繰り返して」という意味があります。
つまり「重ねての質問で恐縮ですが」とは、「再び質問することになり申し訳ありませんが…」というニュアンスです。
ここで重要なのが「恐縮」という言葉。これは「申し訳なく思う」「恐れ入る」という意味を持ち、謙譲表現として目上の人や取引先に対してよく使われます。
このフレーズを使うことで、相手に対し「再度お手間をかけてすみません」という配慮を自然に伝えることができます。
ただし、ビジネスシーンでは「丁寧すぎる」ことが逆に距離を生んでしまう場合もあるので、相手との関係性に合わせて使い分けるのがマナーです。
よく使われるシーンと注意点
上司や取引先に確認するとき
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納期や提出物の再確認
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契約書や金額に関する再質問
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会議前の資料内容の確認
会議や打ち合わせ中
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前に説明された部分を再度確認したいとき
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新しい質問を追加したいとき
メールやチャットでのやり取り
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送った依頼の回答をもらったが、不足している情報を確認したいとき
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別件に関連して、さらに質問を追加したいとき
注意点
相手によっては「一度説明したのに、また聞くの?」と感じる人もいます。
そんなときは、
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「確認不足で失礼いたしますが」
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「念のため再確認させてください」
といった前置きを添えると、印象がやわらぎます。
なぜ「重ねての質問」が必要?背景と心理的意味
日本語のビジネス表現には「相手に迷惑をかけないようにする配慮」が色濃く反映されています。
特に「恐縮」という言葉には「自分が下に立つことで相手を立てる」という意味合いがあり、謙遜や敬意を示す役割を果たしています。
つまり「重ねての質問で恐縮ですが」は、
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相手の時間を奪ってしまうことを理解しています
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それでも必要があるので再度お伺いします
という姿勢を表す言葉なのです。
ただし、これは文化的な特徴に基づく理解であり、すべての相手が同じように受け止めるわけではありません。
特に海外ビジネスの場では「恐縮」という概念がないため、「謝罪よりも簡潔な質問」のほうが好まれることも多いのです。
NGな使い方・誤用例
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毎回のメールに必ず入れる
→ 文章が重くなり、形だけの敬語に見える。 -
チャットで何度も使う
→ 簡潔さを求める場では不自然。「もう一度確認させてください」で十分。 -
実際には初めて聞く質問で使う
→ 本来「再度」の意味なので誤用。正しくは「一点確認させていただきたいのですが」とするのが自然です。
使い方ガイド:メール・会話での例文集
メールでの基本文例
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「重ねての質問で恐縮ですが、先日の資料について一点確認させていただけますでしょうか。」
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「重ねてのお願いとなり恐縮ですが、納期について再度ご確認をお願いいたします。」
上司・取引先・同僚への立場別活用例
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上司へ:「重ねての質問となり恐縮ですが、来週の会議資料について再確認させていただけますか。」
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取引先へ:「重ねてのお願いで恐縮ですが、契約書の日付について修正をご検討いただけますでしょうか。」
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同僚へ:「重ねての質問で悪いんだけど、共有フォルダの場所をもう一度教えてもらえる?」
会議・チャットでの自然な使い方
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【会議】「重ねての質問で恐縮ですが、もう一度ご説明いただけますか?」
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【チャット】「重ねての質問で恐縮ですが、このURLは最新版で合っていますか?」
💡 ポイント:メールでは丁寧に、チャットではやや簡潔に。場面に応じて調整しましょう。
類似表現・言い換えフレーズ比較
表現 | ニュアンス | 適した場面 |
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重ねての質問で恐縮ですが | 丁寧・フォーマル | 上司・取引先への確認 |
何度も申し訳ありません | 柔らかめ・カジュアル | 同僚や社内向け |
再度確認させてください | 簡潔・ストレート | チャットや短文メール |
度々恐れ入りますが | 柔らかい敬語 | 気軽な再質問のとき |
👉 一覧表で比較することで、状況ごとの選び方が明確になります。
受け手の心理と効果
相手にとって「重ねての質問」はどう映るのでしょうか?
ポジティブに受け取られる場合
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丁寧で誠意がある
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仕事に慎重で信頼できる印象を与える
ネガティブに受け取られる場合
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多用すると「しつこい」と感じられる
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形だけの定型文と受け止められる
このため「一度のメールでまとめて質問する」「背景を簡潔に添える」など、相手の時間を尊重する工夫も大切です。
相手から「重ねての質問」を受けた時の返事術
自分が質問する側だけでなく、受ける側になることもあります。そんなときの対応も印象を左右します。
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好印象な返答例:「ご確認ありがとうございます。補足いたしますと…」
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シンプルで丁寧な返答:「もちろんです。こちらをご確認ください。」
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チャットでの返答:「全然大丈夫ですよ!こちらが最新版です。」
受け手が「気軽に質問してもいいんだ」と思えるような返事をすると、チームの雰囲気もよくなります。
英語での「重ねての質問で恐縮ですが」表現
英語には「恐縮」にあたる直接的な単語はありません。そのため、謝罪や依頼の形で表現します。
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直訳:「I’m sorry to ask again, but…」
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自然なビジネス表現:「Could you kindly confirm…?」
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柔らかい再確認:「Just to clarify again…」
グローバルビジネスでは、謝罪を強調しすぎず、簡潔に伝える方が好まれる傾向があります。
FAQ:よくある疑問と回答
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Q: 何回まで「重ねて」を使っていいの?
→ 明確なルールはありませんが、1案件につき1〜2回が無難。繰り返す場合は言い換え表現を。 -
Q: 「恐縮」なしでも大丈夫?
→ 上司や取引先には「恐縮」を入れるのが安心。同僚やフランクなやり取りなら省略しても自然です。 -
Q: チャットや日常会話でも使う?
→ 場合によります。カジュアルな職場なら「何度もごめんね」で十分。職場の文化に合わせましょう。
まとめ:印象をよくする「重ねての質問」の活用術
「重ねての質問で恐縮ですが」は、ビジネスシーンで相手に配慮を示しつつ、再度質問や確認をしたいときに役立つ表現です。
本記事では、その正しい意味と使い方を解説し、メールや会話で使える具体的な例文や、状況に応じた言い換え表現もご紹介しました。
ポイントは「丁寧さ」と「簡潔さ」のバランス。多用しすぎず、場面や相手に合わせて表現を選ぶことで、信頼を損なうことなく好印象なやり取りができます。
今日から安心して使いこなし、あなたのコミュニケーション力をさらに磨いていきましょう。
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本記事は、一般的なビジネス日本語表現に関する情報提供を目的としています。
職場環境や相手との関係性により適切な表現は異なる場合がありますので、状況に応じてご活用ください。