ビジネス文書を書くときに、
- 拝啓と敬具はどこに書けばいいの?
- 横書きの場合、敬具は右寄せでいい?
- 記と以上は、敬具の前と後どちらに入れるの?
- ビジネスメールにも拝啓・敬具は必要なの?
と迷うことはありませんか。
社外向けの案内状や送付状、お礼状などでは、「拝啓・敬具」を使う場面があります。
結論からいうと、ビジネス文書では「拝啓」は本文の最初に書き、「敬具」は本文の結びに書きます。
横書きの場合、「拝啓」は本文の冒頭に置き、「敬具」は本文の結びとして右寄せにする形がよく使われます。
ただし、会社指定のテンプレートがある場合は、その形式に合わせると安心です。
また、日時や場所、送付物などを箇条書きで伝える場合は、「敬具」のあとに「記」を入れ、最後を「以上」で締めます。
この記事では、拝啓・敬具の基本的な使い方、ビジネス文書での位置、すぐに使える例文、間違いやすいポイントまでわかりやすく紹介します。
拝啓・敬具とは?
「拝啓」と「敬具」は、手紙や改まった文書で使うあいさつの言葉です。
「拝啓」は、文書の冒頭に使う頭語です。
会話でいうと、「こんにちは」「突然のお手紙失礼いたします」に近い役割があります。
一方、「敬具」は、文書の最後に使う結語です。
会話でいうと、「それでは失礼いたします」に近い役割です。
つまり、拝啓と敬具は基本的にセットで使う言葉です。
ビジネス文書では、社外の相手に対して丁寧な印象を与えたいときに使われます。
拝啓・敬具の位置はどこ?
ビジネス文書で迷いやすいのが、拝啓と敬具の位置です。
横書きのビジネス文書では、一般的に次のような配置がよく使われます。
| 項目 | 書く位置・役割 |
|---|---|
| 拝啓 | 本文の最初に書く頭語 |
| 敬具 | 本文の結びに書く結語 |
| 記 | 詳細を箇条書きにする前に書く |
| 以上 | 記書きの最後に書く |
横書きの場合、「拝啓」は本文の冒頭に置き、「敬具」は本文の終わりに右寄せで置く形がよく見られます。
ただし、会社や団体によって文書フォーマットが決まっていることもあります。
その場合は、一般的な形よりも、社内ルールや指定テンプレートを優先しましょう。
横書きビジネス文書の基本形
横書きのビジネス文書は、次のような流れで作ると整いやすくなります。
令和○年○月○日
株式会社○○
営業部 ○○様
株式会社△△
営業部 △△
資料送付のご案内
拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、下記の通り資料を送付いたしますので、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。
敬具
記
1. 会社案内 1部
2. 商品カタログ 1部
3. 見積書 1部
以上
このように、本文は「拝啓」で始めて「敬具」で締めます。
そのあと、送付物や日時、場所などの詳細を伝える場合は「記」を使い、最後に「以上」と書きます。
「敬具」と「以上」の違い
「敬具」と「以上」は、どちらも文書の後半に出てくるため、混同しやすい言葉です。
ただし、役割は違います。
| 言葉 | 役割 |
|---|---|
| 敬具 | 本文全体を締める結語 |
| 以上 | 記書きの内容がここで終わることを示す言葉 |
そのため、ビジネス文書では次の順番にすると自然です。
- 拝啓
- 時候の挨拶
- 日頃のお礼
- 本文
- 締めの挨拶
- 敬具
- 記
- 詳細の箇条書き
- 以上
「敬具」で本文を丁寧に締めたあと、必要な詳細を「記」で整理し、最後に「以上」で終える形です。
ビジネス文書の基本構成
社外向けのビジネス文書は、主に次の流れで作ります。
- 日付
- 宛名
- 差出人
- 件名
- 前文
- 主文
- 末文
- 結語
- 記書き
- 以上
それぞれの役割を見ていきましょう。
日付の書き方
文書の上部には、作成日または送付日を書きます。
例文は次のとおりです。
令和○年○月○日
20XX年○月○日
日付を入れておくことで、いつ発行された文書なのかが相手に伝わります。
古い日付のまま使い回すと、文書全体の信頼感が下がってしまうため、送付前に必ず確認しましょう。
宛名の書き方
宛名には、相手の会社名、部署名、役職名、氏名を書きます。
会社や部署宛てに送る場合は「御中」を使います。
個人宛てに送る場合は「様」を使います。
例文は次のとおりです。
株式会社○○ 御中
株式会社○○ 営業部 御中
株式会社○○ 営業部 山田太郎様
注意したいのは、「御中」と「様」を重ねて使わないことです。
たとえば、次のような書き方は避けましょう。
株式会社○○ 御中 山田太郎様
個人名がわかっている場合は、次のように書くのが自然です。
株式会社○○ 営業部 山田太郎様
差出人の書き方
宛名の下には、差出人を書きます。
会社名、部署名、氏名を入れると、誰からの文書なのかがはっきり伝わります。
例文は次のとおりです。
株式会社△△
営業部 佐藤花子
必要に応じて、住所、電話番号、メールアドレスを入れることもあります。
問い合わせが発生しそうな案内状や送付状では、担当部署や連絡先を入れておくと親切です。
件名の書き方
件名は、文書の内容がひと目でわかるように書きます。
例文は次のとおりです。
- 資料送付のご案内
- 懇親会開催のご案内
- お見積書送付のご案内
- 商品不具合に関するお詫び
ビジネス文書では、件名があると相手が内容を把握しやすくなります。
長すぎる件名よりも、短く具体的な件名にするのがおすすめです。
前文の書き方
前文とは、本文の最初に入れるあいさつ文のことです。
一般的なビジネス文書では、次の順番で書きます。
- 拝啓
- 時候の挨拶
- 相手の発展や健康を喜ぶ言葉
- 日頃のお礼
よく使う形は次のとおりです。
拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
この形を覚えておくと、案内状や送付状などに応用しやすくなります。
時候の挨拶とは?
時候の挨拶とは、季節に合わせたあいさつのことです。
たとえば、春なら「春暖の候」、夏なら「盛夏の候」、秋なら「秋涼の候」、冬なら「寒冷の候」などがあります。
ただし、ビジネス文書では季節を問わず使いやすい「時下」を使うことも多いです。
例文は次のとおりです。
時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
「時下」は、季節を選ばず使えるため、送付状や案内状などで便利です。
一方で、改まったお礼状や挨拶状では、季節に合った時候の挨拶を入れると、より丁寧な印象になります。
相手が会社の場合と個人の場合の書き分け
ビジネス文書では、相手が会社か個人かによって、使う表現を少し変えると自然です。
会社や店舗宛ての場合は、次のような表現が使われます。
貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
貴社ますますご発展のこととお喜び申し上げます。
個人宛ての場合は、次のような表現が使われます。
ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
会社には「ご清栄」「ご発展」、個人には「ご健勝」「ご清祥」を使うと覚えておくと便利です。
日頃のお礼の書き方
時候の挨拶のあとには、日頃のお礼を入れます。
よく使われる表現は次のとおりです。
- 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
- 平素は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。
- 平素は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
取引先やお客様に向けた文書では、こうした一文を入れると丁寧です。
主文の書き方
主文とは、文書で一番伝えたい本題の部分です。
前文から主文に入るときは、「さて」を使うと自然です。
例文は次のとおりです。
- さて、このたび下記の通り資料を送付いたします。
- さて、弊社では下記の通り懇親会を開催する運びとなりました。
- さて、先日ご依頼いただきましたお見積書を同封いたします。
「さて」を入れることで、あいさつ文から本題へ移りやすくなります。
末文の書き方
末文とは、本文の最後に入れる締めのあいさつです。
ビジネス文書では、相手へのお願いや今後の関係を大切にする言葉を入れることが多いです。
よく使う表現は次のとおりです。
- 今後とも変わらぬお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。
- 今後ともご愛顧賜りますようお願い申し上げます。
- まずは略儀ながら書中をもってご挨拶申し上げます。
- ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます。
- ご多忙のところ恐縮ではございますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
末文を書いたら、最後に「敬具」を入れます。
頭語と結語の組み合わせ一覧
頭語と結語には、基本的な組み合わせがあります。
ビジネス文書でよく使うものを整理すると、次のようになります。
| 場面 | 頭語 | 結語 |
|---|---|---|
| 一般的な文書 | 拝啓 | 敬具 |
| より丁寧な文書 | 謹啓 | 敬白・敬具 |
| 返信の文書 | 拝復 | 敬具 |
| 急ぎの文書 | 急啓・急白 | 草々・敬具など |
| 前文を省略する文書 | 前略 | 草々 |
もっとも使いやすいのは「拝啓・敬具」です。
社外向けの案内状、送付状、一般的なお知らせ文などでは、まず「拝啓・敬具」を使うとよいでしょう。
「謹啓・敬白」はどんなときに使う?
「謹啓・敬白」は、「拝啓・敬具」よりも改まった印象のある表現です。
たとえば、次のような文書で使われることがあります。
- 役員交代のお知らせ
- 会社設立の挨拶状
- 移転の挨拶状
- 重要なお礼状
- 格式を重んじたい案内状
ただし、すべてのビジネス文書で「謹啓・敬白」を使う必要はありません。
一般的な送付状や案内状であれば、「拝啓・敬具」で十分です。
「急啓・草々」はどんなときに使う?
「急啓・草々」は、急ぎの用件や、前文を省いてすぐ本題に入りたいときに使われることがあります。
たとえば、急ぎの連絡やお詫び状などです。
ただし、必ず「急啓・草々」を使わなければならないわけではありません。
お詫び状の場合は、時候の挨拶を入れるよりも、まず謝罪の言葉から始める方が自然な場合があります。
相手に迷惑をかけた内容であれば、形式よりも「何に対するお詫びか」「今後どう対応するか」を明確に書くことが大切です。
拝啓・敬具を使わないケース
拝啓・敬具は便利ですが、すべての文書で使うわけではありません。
次のようなケースでは、使わないことがあります。
- ビジネスメール
- 社内文書
- 年賀状
- 暑中見舞い
- 寒中見舞い
- 喪中はがき
- 弔事の手紙
- お見舞い状
- 前略で始める略式の手紙
特にビジネスメールでは、通常「拝啓・敬具」よりも、宛名、挨拶、用件、締めの言葉、署名で構成することが多いです。
ただし、メールであっても、正式な案内状やお礼状を文書形式で送る場合は、拝啓・敬具を使うことがあります。
ビジネスメールに拝啓・敬具は必要?
通常のビジネスメールでは、拝啓・敬具は使わないことが多いです。
メールでは、次のような流れの方が自然です。
株式会社○○
営業部 ○○様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の佐藤です。
このたびは、資料送付の件でご連絡いたしました。
何卒よろしくお願いいたします。
このように、メールでは「いつもお世話になっております」から始めることが多いです。
一方、紙の案内状や改まった文書では、「拝啓・敬具」を使うと丁寧な印象になります。
「記」と「以上」の使い方
日時、場所、持ち物、送付物などを整理して伝えたいときは、「記」を使います。
「記」は、本文で伝えた内容の詳細を箇条書きにするためのものです。
たとえば、案内状では次のように使います。
記
1. 日時 令和○年○月○日(金)18時〜20時
2. 会場 ○○ホテル 3階 ○○の間
3. 住所 東京都○○区○○
4. 会費 ○○円
5. お問い合わせ 総務部 ○○
以上
記書きを使うと、日時や場所などの重要情報が見やすくなります。
最後に「以上」と書くことで、記書きの内容が終わったことを示します。
そのまま使えるビジネス文書の例文
ここからは、ビジネスシーンで使いやすい例文を紹介します。
会社名、部署名、日付、内容を自分の状況に合わせて調整して使ってください。
例文1:資料送付のご案内
令和○年○月○日
株式会社○○
営業部 ○○様
株式会社△△
営業部 △△
資料送付のご案内
拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、先日ご依頼いただきました資料を下記の通り送付いたします。
ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます。
今後ともお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。
敬具
記
1. 会社案内 1部
2. 商品カタログ 1部
3. 見積書 1部
以上
資料送付の文書では、「ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます」という表現がよく使われます。
送付物が複数ある場合は、記書きで整理すると相手に伝わりやすくなります。
例文2:懇親会の案内状
令和○年○月○日
株式会社○○
営業部 ○○様
株式会社△△
代表取締役 △△
懇親会開催のご案内
拝啓 春暖の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、このたび日頃のご厚情に感謝の意を込めまして、下記の通り懇親会を開催する運びとなりました。
ご多忙のところ恐縮ではございますが、ぜひご出席賜りますようお願い申し上げます。
敬具
記
1. 日時 令和○年○月○日(金)18時〜20時
2. 会場 ○○ホテル 3階 ○○の間
3. 住所 東京都○○区○○
4. 会費 ○○円
5. お問い合わせ 株式会社△△ 総務部 ○○
以上
案内状では、相手に予定を調整してもらうことになります。
そのため、「ご多忙のところ恐縮ではございますが」のように、相手の忙しさに配慮する言葉を入れると丁寧です。
例文3:お礼状
令和○年○月○日
株式会社○○
営業部 ○○様
株式会社△△
営業部 △△
お礼状
拝啓 盛夏の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、このたびはご丁重なお品をお送りいただき、誠にありがとうございました。
お心遣いに、社員一同心より御礼申し上げます。
今後とも変わらぬお付き合いを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
まずは略儀ながら書中をもって御礼申し上げます。
敬具
お礼状では、何に対するお礼なのかを具体的に書くと、気持ちが伝わりやすくなります。
より改まった文書にしたい場合は、「拝啓・敬具」ではなく「謹啓・敬白」を使うこともあります。
例文4:お詫び状
令和○年○月○日
株式会社○○
営業部 ○○様
株式会社△△
営業部 △△
商品不具合に関するお詫び
このたびは、弊社より納品いたしました商品に不具合があり、多大なるご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。
ご指摘いただきました内容を確認いたしましたところ、一部の商品に製造上の不備があることが判明いたしました。
現在、代替品の手配を進めており、令和○年○月○日までにお届けできるよう対応しております。
今後は同様の事態が発生しないよう、検品体制の見直しを行い、再発防止に努めてまいります。
このたびは誠に申し訳ございませんでした。
まずは書中をもってお詫び申し上げます。
お詫び状では、時候の挨拶よりも先に、何に対するお詫びなのかを明確に伝える方が自然な場合があります。
なお、軽いお詫びや通常の文書形式に整える場合は、「拝啓・敬具」を使うこともあります。
相手に大きな迷惑をかけた場合は、形式的な時候の挨拶よりも、まず謝罪と対応を明確に伝えることを優先しましょう。
拝啓・敬具でよくある間違い
拝啓・敬具を使うときは、次のような間違いに注意しましょう。
- 拝啓で始めたのに、敬具を書き忘れる
- 拝啓と敬具の組み合わせが合っていない
- 敬具のあとに本文を続けてしまう
- 記書きの前に敬具を入れ忘れる
- 記書きの最後に以上を書き忘れる
- 御中と様を重ねて使う
- 時候の挨拶が季節に合っていない
- お詫び状なのに、長い時候の挨拶から始めてしまう
特に多いのが、「敬具」と「以上」の位置を間違えるケースです。
本文を締めるのが「敬具」、記書きを締めるのが「以上」と覚えておきましょう。
拝啓・敬具を使うときのチェックリスト
文書を書き終えたら、送る前に次の点を確認しましょう。
- 拝啓と敬具がセットになっているか
- 拝啓は本文の最初にあるか
- 敬具は本文の結びにあるか
- 会社指定のテンプレートがある場合、その形式に合っているか
- 記書きが必要な内容か
- 記書きの最後に以上があるか
- 宛名の御中と様を重ねていないか
- 時候の挨拶が季節や文書内容に合っているか
- 相手の会社名や氏名に誤字がないか
- 日付が古いままになっていないか
- 文書の目的が件名で伝わるか
このチェックをするだけでも、ビジネス文書の印象はかなり整います。
まとめ
ビジネス文書で「拝啓・敬具」を使うときは、まず位置を押さえることが大切です。
「拝啓」は本文の冒頭に置き、「敬具」は本文の結びに置きます。
横書きの場合、「敬具」は右寄せにする形がよく使われますが、会社指定のテンプレートがある場合は、その形式に合わせると安心です。
日時や場所、送付物などを詳しく伝える場合は、敬具のあとに「記」を入れ、最後を「以上」で締めます。
基本の流れは次のとおりです。
- 拝啓
- 時候の挨拶
- 日頃のお礼
- さて、から始まる本題
- 締めの挨拶
- 敬具
- 記
- 詳細
- 以上
拝啓・敬具は、決まりごとが多く見えますが、一度型を覚えれば難しくありません。
社外向けの案内状、送付状、お礼状などでは、基本の形に沿って書くだけで、相手に丁寧で失礼のない印象を与えやすくなります。
迷ったときは、「拝啓は最初、敬具は本文の結び、記と以上は詳細を書くとき」と覚えておきましょう。

