近年よく聞く「ゲリラ豪雨」
昔からある言葉「夕立」
海外のイメージがある「スコール」
どれも「悪天候」なことはわかりますが
実際には何がどう違うでしょうか。
明確な違いはあるのか?
近年日本は大雨が増えているのか?
調べてみました。
ゲリラ豪雨とは?
「ゲリラ」はスペイン語で「小戦闘」という意味で、小規模な部隊が臨機応変に奇襲やかく乱を行うこと、またはその小部隊や隊員を指します。
転じて、局所的かつ予測困難な出来事を「ゲリラ的」と表現することがあり、「ゲリラ豪雨」は「突然降る予測困難な集中豪雨」と言い換えることができます。
言葉自体は数十年前から使われていましたが、気象庁が使用する予報用語ではなく、2,008年頃からテレビなどで頻繁に使われるようになった表現です。
ゲリラ豪雨と呼ばれる気象現象の特徴は、
・多くは都市部で
・短時間に
・局地的に
・突発的に
・激しい雨が降る
といったことが挙げられます。
「豪雨」は予報用語で、「著しい災害が発生した顕著な大雨現象」と定義されています。
つまりゲリラ豪雨とは、冠水や河川の氾濫など、「災害につながる恐れのある局地的な激しい雨」です。
予報用語ではないので降水量の規定はありませんが、「大雨」は百~数百mmの雨量と定義されているので、ゲリラ豪雨はそれと同等か、それ以上の雨量を想定した言葉であると考えられます。
夕立とは?
予報用語ではなく、気象現象の名称です。
夏の午後、夕方ごろに降る雨として
認識されていることが多いようです。
・局地的に
・短時間に
・突然
・ザっと雨が降る
こう書くとゲリラ豪雨と似ている気もしますが、夕立には災害のイメージはありません。
夕立が降ると暑さが和らぎほっとする、そんな、どこか風情のある雨を指すことが多い印象です。
ゲリラ豪雨と同様、降水量の決まりはありませんが、激しいにわか雨であることが多いです。
ゲリラ豪雨の発生状況
ゲリラ豪雨という言葉が、よく聞かれるようになったため、日本は災害級の大雨が増えてきているのでは、という話をよく聞きます。
ゲリラ豪雨の定義が定かではないので正確なことを言うのは難しいですが、気象庁の表現をだと1時間の雨量が80mm以上なら「猛烈な雨」となります。
雨の勢いは恐怖を感じるほどで、水しぶきで視界が悪くなり、車の運転は危険なレベルになります。当然傘は役に立ちません。
この猛烈な雨が、1年間に全国で何回発生したかを数十年に渡りまとめたデータによれば、10年あたり約2回、増加しているそうです。
統計開始(1976年)から10年間の平均年間発生回数と比べると、2016年までの10年間の平均値(17.9回)は約1.7倍に増えています。
恐ろしいほどの「猛烈な雨」が、最近増えてきているのは本当なようです。
スコールとは?
急激な天候の変化がある点、はゲリラ豪雨や夕立と同じですが、「スコール」は雨よりも風が主です。
・短時間で
・局所的に
・急激に
・風速が増していく現象で、
多くが豪雨や落雷、雪などを伴いますが、雨が降るかどうかは重要ではありません。
上空と地上の気温や気圧の差で、空気の密度に差が生じ、下降気流が起こることがスコールの原因です。
定義は、
「毎秒8m以上の風速増加を伴い、最大風速が11m/秒以上で、1分以上継続する」です。
突然どんどん風が強くなり、突風が起こったりして、嵐のように天候が荒れるのがスコールです。
熱帯地域で起こる気象現象で、日本では発生しません。
ゲリラ豪雨は日本の熱帯化の結果で、スコールだという意見をたまに見かけますが、スコールの定義を知れば別物とわかるでしょう。
まとめ
ゲリラ豪雨も夕立もスコールも、「局地的かつ急激に天候が悪化する現象」であるといえます。
ゲリラ豪雨と夕立は雨、
スコールは風がメイン。
ゲリラ豪雨を含む
「猛烈な雨」が近年増加している。
ただの雨と油断せず、
予報用語を知り、
気象情報を気にするクセをつけて、
身を守る意識を高める必要がありそうです。