年末が近づいてくると、街はクリスマスのイルミネーションに彩られ、スーパーやデパートにはおせち料理やお正月飾りが並び始めます。年賀状の準備や大掃除、帰省や旅行の計画などで、気づけばあっという間に新しい年を迎えてしまいますよね。
そんな時期によく目にするのが「元旦」という言葉。
でも、「元日」とはどう違うの? 「元旦って何時までのこと?」と疑問に思ったことはありませんか?
ここでは、「元旦」「元日」「正月」の違いを、やさしく、そして初心者の方でも分かりやすいように解説していきます。さらに、年賀状のマナーや正月事始め、地域ごとの風習なども交えながら、日本の年末年始の豆知識をたっぷりご紹介します。
元旦とは何時まで?
まず、「元旦」という言葉を正しく理解してみましょう。
-
元 … はじめ、最初
-
旦 … 夜明け、朝
このことから「元旦」とは 1月1日の朝 を意味します。
明確な時間の区切りはあるの?
実は「元旦」が何時から何時までと法律や公的なルールで決まっているわけではありません。
ただし「旦」という字そのものが「太陽が地平線から顔を出す様子」を表しているため、一般的には 初日の出から数時間程度、午前中の早い時間帯 を元旦と考えるのが自然です。
「日の出から3時間程度まで」と表現されることもありますが、あくまで目安。地域や人によって感覚が異なる部分でもあります。
地域別・初日の出の時間一覧(目安)
地域 | 初日の出の時刻(例年) |
---|---|
札幌 | 7:06ごろ |
東京 | 6:50ごろ |
大阪 | 7:05ごろ |
福岡 | 7:20ごろ |
たとえば東京では6時50分ごろが初日の出の目安なので、「元旦」は9時前後までの朝の時間帯をイメージするのが分かりやすいでしょう。
元旦と元日の違い
似ているけれど実は意味が違う「元旦」と「元日」。
-
元日 … 年が明けて最初の日(1月1日まるごと)
-
元旦 … その1月1日の朝だけ
つまり「元旦は元日の一部」なんです。
元日が24時間の1月1日を指すのに対し、元旦はそのうちの朝の時間を切り取った言葉。
間違いやすい使い方の例
-
❌ 「元旦に伺います」(もし昼や夜に訪問する予定なら誤用)
-
○ 「元日に伺います」
特に年賀状の挨拶文に「元旦」と書く方は多いですが、「昼に訪ねる予定」や「夜に書いた年賀状」などの場合は「元日」とするのが正しい使い方になります。
正月とはいつまで?
「正月」と聞くと、あなたはいつまでをイメージしますか?
現代の一般的な考え方
-
三が日(1月1日~3日) … 最もポピュラー
-
松の内
-
関東:1月7日まで
-
関西:1月15日まで
-
昔の考え方
本来は旧暦で「正月=1月全体」を指していました。
ただし現代でこの意味が使われることは少なく、「三が日」や「松の内」という表現で区切るのが一般的です。
小正月(1月15日)
1月15日は「小正月」と呼ばれ、農作物の豊作祈願や団子さしといった行事が行われます。
関西で「松の内は15日まで」とされるのは、この小正月の習わしと深く関わっています。
年賀状と元旦・元日の使い分け
新年のご挨拶といえば年賀状。
その文面で「元旦」「元日」を使い分けると、より丁寧で好印象になります。
-
○「謹賀新年 元旦」 → 1月1日の朝にふさわしい表現
-
○「令和○年 元日」 → 1月1日全体を指す表現
また、日本郵便は毎年「12月25日までに投函すれば元旦に届く」と案内しています。
25日を過ぎても届く場合はありますが、確実に届けたいなら早めの準備が安心です。
正月事始めと伝統的な準備
「正月事始め」と呼ばれる日があるのをご存知ですか?
それは 12月13日 のこと。
婚礼以外は万事に大吉とされる「鬼宿日」にあたり、神様を迎える準備をする日とされてきました。
この日に行われる代表的なことは…
-
煤払い(すすはらい) … 家の一年の汚れを払い落とし、清々しい気持ちで新年を迎える準備
-
松迎え … 門松に使う松や、おせちのための薪を集める風習
江戸時代には江戸城で煤払いが行われ、それが庶民に広まったとも言われています。
お正月に行われる行事いろいろ
お正月といえば、さまざまな行事や習慣も魅力のひとつ。
-
初日の出 … 新しい年の始まりを太陽とともに祝う
-
初詣 … 神社やお寺で一年の無事や健康を祈る
-
書き初め … 新年の抱負や願いを文字に込める
-
七草がゆ(1月7日) … 無病息災を願い、七草を入れたおかゆをいただく
地域によっては独自のお正月行事もあり、たとえば秋田の「なまはげ」や、福岡の「玉せせり」なども有名ですね。
まとめ
-
元旦 … 1月1日の朝(初日の出から数時間程度を目安)
-
元日 … 1月1日一日中
-
正月 … 現代では「三が日」「松の内」を指すことが多い(昔は1月全体)
-
年賀状 … 元旦に届かせたいなら12月25日までに投函
-
正月事始め … 12月13日から準備を始める伝統
こうして見てみると、普段なんとなく使っている言葉や習慣にも、深い意味や歴史があることが分かります。
正しい知識を知ることで、年賀状や挨拶のときに自信を持って言葉を選べますし、お子さんやご家族に教えてあげるのも素敵ですよね。
みなさんもぜひ、意味を理解したうえで新しい年を迎え、心穏やかに、気持ちよくお正月を楽しんでください✨