入園希望理由は「保育の必要性」と「園を選ぶ理由」を明確に書くこと
保育園の入園申込みで多くの保護者が悩むのが、「入園希望理由(志望動機)」の書き方です。
就労状況や家庭事情など、プライベートな情報をどこまで書くべきか迷う方も少なくありません。
しかし、この欄は自治体の選考に直接関わる重要項目です。
担当者にしっかりと伝わるように書くことで、希望園への入園の可能性が高まる場合もあります。
基本的な考え方は次の2点です👇
① なぜ保育が必要なのか(=家庭の状況)
② なぜその園を選んだのか(=志望理由)
この2軸を、事実に基づき、具体的に・誠実に書くことが大切です。
入園希望理由を書く前に知っておきたい「選考の仕組み」
多くの自治体では、入園申込時に提出する書類をもとに、保育の必要性を点数化して判断します。
これは「指数制度」や「選考基準表」と呼ばれ、公平な選考を行うための客観的な評価基準です。
主な選考項目の一例
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保護者の就労状況(勤務日数・勤務時間・雇用形態など)
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家族の介護・看護の有無
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ひとり親世帯かどうか
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求職中・通学中・職業訓練中であるか
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保護者の健康状態・通院の有無
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兄弟姉妹の在園有無(加点対象)
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祖父母等の同居・支援可否
このような要素をもとに点数を算出し、合計点の高い家庭から順に入園が決まるのが一般的です。
💡自治体によっては「調整指数」や「同点時の優先順位」など細かいルールがあります。必ず、自治体発行の「保育所入所案内」や「募集要項」を確認しましょう。
入園希望理由欄に書くべき2つの内容
① 保育が必要な理由(=家庭状況)
まずは、保育が必要な背景を具体的に書きます。
抽象的な表現よりも、生活の実情がイメージできる文章にすることが大切です。
記入のヒント
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就労:勤務先・勤務形態・勤務時間を簡潔に記載
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通院・治療:期間や頻度などを簡単に説明(詳細な病名は不要)
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介護・看護:介護対象者と状況を簡潔に書く
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求職中:求職活動を行っている旨を明記
記入例
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「夫婦共働きで、平日の日中に家庭で保育することが難しいため。」
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「育休明けに職場復帰を予定しており、安定した保育環境が必要なため。」
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「祖母の介護を行っており、日中十分に子どもを見られない状況のため。」
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「治療のため定期的に通院しており、保育が必要なため。」
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「求職活動を行っており、再就職のため保育が必要。」
厚生労働省「保育所保育指針(平成30年改訂)」でも、上記のような理由が保育の必要性として認められるとされています。
② その園を選んだ理由(=志望理由)
次に、「なぜその園を希望するのか」を明確に書きましょう。
保育方針や立地、園の特色などを具体的に挙げると良い印象を与えられます。
書く際のポイント
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園の特徴を具体的に調べて言及する
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見学・説明会の感想を入れる
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家庭の教育方針との共通点を示す
記入例
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「園の『子ども一人ひとりを大切にする』という理念に共感しました。」
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「自然体験を重視しており、家庭の教育方針と一致しているため。」
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「少人数制で丁寧な保育を行っている点に魅力を感じました。」
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「自宅から通いやすく、送迎もしやすい距離にあるため。」
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「兄が在園しており、同じ環境で安心して通わせたいと考えています。」
他の園ではなく「なぜこの園か」を明確に書くことが重要です。
入園希望理由を書くときの3つのポイント
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園の理念や方針への共感を具体的に伝える
例:「園見学の際に先生方の子どもへの接し方に感銘を受けた」など、実際の体験を添える。 -
希望度の高さを明示する
「第一希望として強く希望します」「この園で成長してほしいと考えています」など、熱意を表現。 -
虚偽記載は避け、誠実に
就労状況などは後日確認されることがあります。正確に記入することが大切です。
NG例とOK例の比較
NG例 | 理由 | 修正例 |
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「家が近いから」だけ | 理由が単純すぎる | 「自宅から近く、送迎がしやすいため。さらに園の方針にも共感しました。」 |
「なんとなく良さそう」 | 抽象的で根拠がない | 「見学の際に先生方の丁寧な対応に安心感を持ちました。」 |
「必ず入園させてください!」 | 感情的すぎる表現 | 「第一希望として入園を希望いたします。」 |
書き方テンプレート(使いやすい例文構成)
① 保育の必要性
② 園を希望する理由
③ 希望度・一言メッセージ
「夫婦共働きで日中の保育が必要なため申込みをいたしました。〇〇園の“子ども一人ひとりを大切にする”という保育方針に共感し、安心してお任せできると感じています。第一希望として入園を希望いたします。」
ケース別の例文集(参考:自由にアレンジOK)
共働きの場合
「夫婦ともにフルタイム勤務で日中の保育が難しいため、〇〇園への入園を希望します。園の少人数保育や家庭的な雰囲気に惹かれました。」
育休復帰の場合
「育休明けに職場復帰を予定しており、安定した保育環境が必要です。〇〇園の理念と教育方針に共感し、第一希望として希望します。」
介護をしている場合
「祖母の介護を行っており、家庭内での保育が難しいため。家庭的な雰囲気の〇〇園で、子どもが安心して過ごせると感じています。」
通院中の場合
「治療のため定期的に通院しており、子どもと過ごす時間の確保が難しいため。〇〇園の温かい雰囲気に安心感を覚えました。」
求職中の場合
「再就職活動を行っており、保育環境の確保が必要です。〇〇園の地域に根ざした教育方針に共感しています。」
よくある質問(FAQ)
Q1. 説明会には参加した方がいい?
→ はい。園の方針や一日の流れを実際に見られる貴重な機会です。希望理由を書くうえでも重要な情報源になります。
Q2. 点数制度ってどんなもの?
→ 自治体が公平に入園を判断するための基準で、就労状況や家庭環境に応じて点数がつきます。制度は自治体ごとに異なります。
Q3. 途中入園でも希望理由は必要?
→ 必要です。途中入園では特に「保育の必要性」が重視される傾向があります。
Q4. 手書きとPC入力、どちらが良い?
→ 指定がなければどちらでもOK。手書きは丁寧さ、PC入力は正確さが求められます。
Q5. 文字数の目安は?
→ おおむね200〜400文字程度が読みやすく、内容も伝わりやすい分量です。
入園願書を準備するときにあると便利なアイテム
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下書き用の用紙(失敗しても安心)
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修正しやすい筆記具(消せるボールペンなど)
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提出用封筒・クリアファイル
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例文や募集要項の印刷物
これらは一般の文房具店やオンラインショップで購入できます。下書き用紙で一度まとめてから清書するのがおすすめです。
まとめ|希望理由は「具体性」と「誠実さ」がカギ!
入園希望理由は、自治体や園に家庭の思いを伝える大切な欄です。
「保育の必要性」と「園を選ぶ理由」を、事実に基づいて誠実に書くことが最も大切です。
提出前チェックリスト
☑ 保育が必要な理由を書いた
☑ 園の方針や特色に触れた
☑ 虚偽や曖昧な表現がない
☑ 誤字脱字を確認した
☑ 自治体の公式要項を確認した
しっかり準備を整えて、希望の園で新しい一歩を踏み出しましょう🌸
※内容は地域や年度によって異なる場合があるため、必ずお住まいの自治体の公式情報をご確認ください。本記事は法的助言を目的としたものではありません。