ニュースなどで、
よく平等や公平という言葉を耳にしますよ。
いろいろ難しいよなぁ…と、ニュースを見ながら思っていると、後ろでこんな兄弟げんかが始まってしまうことがあります。
「お姉ちゃんのケーキのほうが大きい!」
「いつも弟ばっかりズルいよ!」
おやおや…ここでも、平等や公正の問題が発生してます。
「ケーキ、平等に切り分けてるよ?」
「どの子にも公平にしていんだけどな…」
ベストを尽くしている親としては、悩ましいですよね。そんなわけで、平等と公平について考えてみました。
平等と公平ってどう違うの?
ある国語辞典によると…
平等:差別することなく、
同じように扱うこと。
公平:判断や処理が偏ってないこと。
うーん…分かるようで分からないような…。
ある参考書にはこんな説明も。
平等は、どちらかの側をその立場ゆえに
優遇することはしない。
公平は、偏りやえこひいきが見られないこと。
どう違うの?…
そんなモヤッと感が残りますね。
実は、平等には様々な側面があり、カンタンに定義できません。ケーキを切り分ける程度なら、均等に分けること=平等です。しかし、広い意味ではそうすんなりいきません。
置かれた状況は人それぞれ違うので、
その中で平等はムリがあります。
例えば、生まれた時の境遇や性別は選べません。地域社会や置かれた状況、育った環境、性格、個性、年齢など、みんなそれぞれ異なっています。双子でさえ、イコールではありません。
では、公平とは何でしょうか。
「偏った見方やえこひいきをしないこと」
つまり、物の見方と行動が関係しています。
自分が公平な見方をしてないと、公平にはできません。外見や境遇で判断するのではなく、違いを受け入れた上で、相手に対するふさわしい敬意や配慮が必要です。
平等:状況や本人の希望に関係なく、
均等かどうかが基準
公平:ふさわしい敬意や配慮がなされているか、と言えそうですね。
平等と公平の違いをたとえで考えてみた
例えば…
3人の子がいるとします。みんなで食事の時間になりました。全く同じものを全く同じ量で配ります。これは、平等に思えます。
しかし、3人の状況は、一人は食物アレルギーがあり、あとの二人は健康です。全く同じものを与えるのは、平等でしょうか?
答えは、ノーです。
食べたくても食べられない子は、残念で悲しい思いをします。メニューや量は均等でも、状況や必要が違うからです。
アレルギーのある子には食べられる工夫をしたメニュー、後の二人には、通常メニューを与えたとしたら?これだと、公平でしょう。
みんなが食事を楽しむことができるからです。必要な配慮が払われ、どの子もきちんと食事を与えられました。みんなが納得し満足です。
大人同士の場合も同じことが言えます。
友人と字食事に行くとします。
「今日はワリカンね」
これは一見、平等そうですが…
私は、給料日前なので安く抑えたい。でも友人は、余裕があるので、少し豪華美味しいものを食べたい。食事が終わり、合計金額を割り勘にすると…
その後の友情にヒビが入るかもしれません。必ずしも、平等(この場合はワリカン)が良いとは限らないのです。
しかし、一人一人が別々に払うと、納得の上なので公平です。または、最初に「ワリカンね」とは言ったものの、相手が給料日前とは知らなくても、値段の差を考えれば、融通をきかせて、別の方法を取ることができるでしょう。
子どもたちへの平等と公平│違いはあってもできること
結論から言うと、状況や必要は違うので、平等はムリです。とはいえ、可能な限り公平に扱うことはできるでしょう。
(可能な限り…というのは、親もパーフェクトではないからです)
同じ兄弟でも、それぞれ異なっているので、すべての子どもを同じように扱うことはムリがあります。
どこまでも元気過ぎて手を焼く子もいれば、病気や特別な世話の必要な子だっています。違っているからこそ、それぞれに応じた扱いが必要です。
また、力があって、たくさんお手伝いできる子を優遇したり、病弱だからといってその子だけを特別扱いするとしたら、それは公平ではありません。
親自身も、かつて自分が上の子であれば、上の子の気持ちが、もし下の子だったら、下の子の気持ちが分かるので、つい、気づかないうちに誰かに感情移入してるかもしれません。
突き詰めていくと、パーフェクトな人間なんていませんから、完全な公平さも、厳密にはムリです。
しかし、その範囲内でえこひいきをしないことはできます。
家庭内のルールは一貫して守りつつも、それぞれの必要に応じた配慮をしてあげたいですね。
みんな違ってみんないい
・パーフェクトな人間はいないので、ムリなこともある。
・平等は、みんなが同じものを均等に与えられること。本人の状況、個性、体力、希望などに関係なく、一律。状況や必要は違うので困る人も出る。
・公平は、関係者それぞれに合った適切な配慮がされること。誰かが特に優遇されることなく、みんなが結果に納得できる。画一的ではない。
・平等はムリがあるが、可能な限り公平であることはできる。
そもそも物事は、シロかクロではありません。
それぞれの事情も違えば、願いも状況も個性も違います。得意なこともあれば不得意なこともあります。
違いを受け入れて、えこひいきや特別扱いをせず、それぞれに応じて必要な配慮をし、手を差し伸べる…そんな魅力的な人になりたいですよね。
公平にされると、誰しも安心するので、笑顔にもなれます。
金子みすゞの詩にある、
こんなフレーズを思い出しました。
「みんなちがってみんないい」
それを認めることが、公平にもつながってくるのかもしれません。