揚げ物や炒め物のあとに残る油を前にして、
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「捨てるのはもったいない」
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「廃油石鹸が作れると聞いたけど、失敗しそうで不安」
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「安全に作る方法をちゃんと知りたい」
と感じて、このページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
廃油石鹸は、正しい作り方と注意点を理解したうえで取り組めば、
掃除用として役立つ可能性がある方法です。
一方で、手順を曖昧に理解したまま始めると、
失敗や事故につながりやすい作業でもあります。
この記事では、
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廃油石鹸作りの全体の流れ
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基本となる作り方の手順
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初心者が特に失敗しやすいポイント
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トラブルが起きたときの判断基準
まで、作り方を重視して詳しく解説します。
廃油石鹸作りの全体像|まずは流れを把握する
廃油石鹸作りは、次の6つの工程で進みます。
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廃油の選別・ろ過
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苛性ソーダの分量を考える
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苛性ソーダ水溶液を作る
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油と溶液の温度を合わせる
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混合・攪拌(トレース)
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型入れ・乾燥・熟成
失敗の多くは、工程全体を理解しないまま作業を始めてしまうことが原因です。
まずは流れを頭に入れてから、各手順を確認しましょう。
手順① 廃油の準備と下処理|仕上がりを左右する工程
使いやすい廃油・避けたい廃油
比較的使いやすい廃油
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植物性油(サラダ油など)
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使用回数が少ないもの
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強いにおいが出ていないもの
避けたほうがよい廃油
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酸化が進み、ツンとした臭いがある
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揚げカスや焦げが多い
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動物性脂肪が多い油
油の状態が悪いと、
におい残り・固まりにくさ・品質低下の原因になります。
廃油をろ過する理由と方法
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揚げカスは反応を不安定にする
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水分が残ると分離や失敗につながる
キッチンペーパーや布を使い、
時間をかけて丁寧にこすことが重要です。
手順② 苛性ソーダの分量を考える|最重要ポイント
なぜ分量計算が必要なのか
苛性ソーダの量は、
油の種類ごとに異なる鹸化価をもとに計算します。
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多すぎる → 刺激が強く残る
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少なすぎる → 固まらない・ベタつく
他人のレシピをそのまま使ったり、
過去の分量を流用したりするのは、失敗や事故の原因です。
安全な分量の考え方
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使用する油の種類を正確に把握する
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鹸化価に基づいて計算する
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信頼できる計算ツールや専門書を使用する
※安全性の観点から、本記事では具体的な数値は記載していません。
手順③ 苛性ソーダ水溶液を作る|最も危険性が高い工程
必ず守る基本ルール
❌ 苛性ソーダに水を入れる
⭕ 水に苛性ソーダを少しずつ加える
この順番を守らないと、
急激な発熱や飛散が起こる恐れがあります。
作業時の注意点
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屋外または十分な換気ができる場所で行う
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顔を近づけない
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ゴーグル・ゴム手袋・長袖を着用する
この工程では絶対に無理をしないことが重要です。
手順④ 油と溶液の温度を合わせる|失敗防止の基本
油と苛性ソーダ水溶液の温度差が大きいと、
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分離しやすくなる
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トレースが出にくくなる
といったトラブルが起こります。
目安としては、
同じくらいの温度になるまで待つことが大切です。
手順⑤ 混合・攪拌(トレース)|最大の山場
トレースとは?
攪拌を続けると、液体がとろみを帯び、
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表面に線が残る
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マヨネーズ状になる
状態になります。これをトレースと呼びます。
よくある失敗
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攪拌不足 → 固まらない
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途中でやめる → 分離する
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焦って型入れ → 失敗
「少し重くなった」と感じるまで攪拌を続けることがポイントです。
手順⑥ 型入れ・乾燥・熟成
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型に静かに流し入れる
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動かさずに乾燥させる
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十分な期間、熟成させる
熟成が不十分なまま使うと、
刺激が残る可能性があるため注意してください。
Q&A|よくあるトラブルと原因
Q1. いつまで経っても固まりません
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分量ミス
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攪拌不足
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温度差が大きい
→ 使用しない判断が安全
Q2. 表面は固いのに中が柔らかい
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熟成不足
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攪拌ムラ
→ さらに時間を置く/改善しなければ使用中止
Q3. 強い油のにおいがします
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廃油の劣化
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ろ過不足
→ においが強い場合は使用しない
Q4. 手がピリピリします
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アルカリ残留の可能性
→ 即使用中止。皮膚は大量の水で洗う
Q5. 泡立ちが悪いです
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掃除用としては正常な場合が多い
→ 泡立ちの弱さ=失敗とは限らない
トラブル対処まとめ|判断に迷ったときの目安
| 状態 | 判断 |
|---|---|
| 固まらない | 使用しない |
| においが強い | 使用しない |
| ピリピリする | 即中止 |
| 泡立たない | 掃除用なら問題なし |
👉 「迷う時点で使わない」が最優先です。
廃油石鹸の用途|必ず掃除専用に使う
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肌用としての使用はおすすめできません
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キッチン・換気扇・コンロ掃除向き
用途を限定することで、
トラブルを防ぎやすくなります。
作らない選択肢も正解です
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自治体の廃油回収
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市販の油固化剤
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回収ボックスの利用
作らない判断も、安全で立派な選択です。
まとめ|基本手順の理解が失敗と事故を防ぐ
廃油石鹸作りで大切なのは、
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作り方の流れを正しく理解すること
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各工程の意味を知ること
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無理をしない判断をすること
正しい作り方を知ったうえで、作るかどうかを判断する。
それが、安全で後悔しない向き合い方です 🌱
(必ずお読みください)
※本記事は、廃油石鹸の作り方について理解を深めるための一般的な情報提供を目的としています。
廃油石鹸作りでは、強いアルカリ性を持つ苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を使用するため、やけど・健康被害・事故などのリスクが伴います。
実際に作業を行う場合は、十分な知識と安全対策を前提とし、すべて自己責任で判断・実施してください。
