近年、災害に関する情報に関心が高まっています。ふわっとした理解だけでは、いざというときに身を守る行動をとれない可能性があります。
最低限の知識を押さえ、
命を守りましょう。
避難指示と避難勧告の違い
簡単にまとめると、
避難指示
災害が起こりかけている または 既に発生しているので、直ちに避難する必要がある。
避難勧告
災害の発生が予想されるので、速やかに避難する必要がある。
ということで、どちらも
安全な場所に逃げてください!という意味ですが、避難指示のほうが緊急性が上です。
発令は各市町村が行います。
避難勧告、避難指示(緊急)とは
内閣府が公表している
「避難勧告等に関するガイドライン」の
内容をまとめます。
・避難指示(緊急)
既に災害が発生していてもおかしくない極めて危険な状況であり、予想される災害に対応した指定緊急避難場所へ緊急に避難することを居住者などに求めています。
・避難勧告
予想される災害に対応した指定緊急避難場所へ速やかに避難することを居住者などに求めています。
状況の切迫性が違うだけで、
その地域に住む人たちに求めている行動(=避難)は同じです。
避難情報をランク分けすることで、避難の緊急度=「どれだけ急いで逃げなければならないか」を住民に伝えています。
避難指示、避難勧告ともに、
指定緊急避難場所に逃げても危険だと判断される場合は、各自の判断おいて、より安全な場所への避難か、屋内での安全確保を求めています。
つまり実際には、複数のパターンを想定して、
避難する場所や方法を決めておく必要があります。
指定緊急避難場所について
指定緊急避難場所とは、
各市町村が指定している
「災害の危険から命を守るために、緊急的に避難する場所」のことです。
災害後、避難生活を送る「避難所」とは意義が異なりますが、同じ場所が指定されていることもあります。
災害の種類によって、安全が確保できる場所の条件は変わるため、以下の災害種別に指定されています。
・洪水
・崖崩れ、土石流及び地滑り
・高潮
・地震
・津波
・大規模な火事
・内水氾濫
・火山現象
洪水が起こったら洪水に対応した指定緊急避難場所へ、地震が起こったら地震に対応した指定緊急避難場所へ避難することになります。
居住している自治体のホームページで、それぞれの指定緊急避難場所を確認しておきましょう。
市町村長による避難場所の指定制度が施行されたのは、平成26年4月で、それ以降、各市町村において順次指定されていきました。比較的新しい制度といえます。
また、指定緊急避難場所は適宜更新されていくため、常に最新の情報を入手する必要があります。
避難情報における名称の変更
避難指示や避難準備などの意味が今現在混乱してしまっている原因のひとつに、平成29年1月に名称の変更が行われたことがあります。
以前の名称では、避難の必要性が住民に十分に伝わらず、避難行動が遅れるという事態が起きたため、より伝わりやすくなるよう、以下のように名称が変更されました。
避難勧告 → 避難勧告
避難指示 → 避難指示(緊急)
(緊急)は、緊急ではない避難指示もあると
誤解が起きそうですが、「避難指示(緊急)」でひとつの名称です。
一見して「避難勧告」と区別できるように、
このような表記になりました。
また、避難準備情報にあった「要配慮者」といった用語を「高齢者等」と分かりやすく変え、さらに名称に付け加えました。
避難準備・高齢者等避難開始」について
避難情報で、もうひとつ発令されるのが「避難準備・高齢者等避難開始」です。
状況の切迫性は一番低いです。
ガイドラインによると、「避難に時間のかかる要配慮者とその支援者は、避難する」よう求めています。
その他の人は「避難の準備を整え」て、「自発的に避難を開始すること」を勧めています。
特に、「突発性が高く予測が困難な」災害が起こる危険性が高い地域では、「準備が整い次第、当該災害に対応した指定緊急避難場所へ」避難することを強く勧めています。
「要配慮者」には高齢者や妊婦、乳幼児を連れた人、歩行困難者などが当てはまります。
「突発性が高く予測が困難な災害」は、土砂災害や河川の急激な水位上昇などが想定されます。
つまり
「避難に時間がかかる人は今から避難開始、それ以外の人も、土砂崩れや河川の氾濫が予想される場合は避難してください」と呼びかけています。
まとめ
避難指示や避難勧告の意味がわかると、自分が居住する地域の「指定緊急避難場所」を知らないことには、身を守る行動はとれないと気づきます。
自治体のホームページで
「防災」などの項目で情報が公開されています。
想定される災害は地域によってさまざまです。居住地の情報を集めておきましょう。