季節の行事って、
大人にとっては習慣になっていて
あまり疑問に思うこともありませんが、
子供にとっては不思議がいっぱいです。
「七夕ってなに?」という
無垢で恐怖の質問攻めが始まるまえに、
ここで予習しておきませんか?
子供に話しやすいように、
七夕の由来として一番オーソドックスな説を、
絵本調で紹介します。
そのほかの七夕にまつわる豆知識も一緒に、
子供たちに教えてあげましょう。
七夕の由来|簡単なあらすじ
昔々、天の川の近くに、
天の神様の娘・織姫と、
牛飼いの若者・彦星がいました。
織姫は機織り(はたおり)が得意な働き者、
彦星はとても真面目なしっかり者でした。
神様が織姫の結婚相手を探していたところ、
彦星が目に留まり、ふたりを会わせました。
ふたりは一目で恋に落ち、
そのまま結婚しました。
しかし、良縁に神様が喜んだのもつかの間、
ふたりは毎日一緒に楽しく遊んで過ごし、
機織りや牛の世話の仕事をしなくなりました。
夫婦のあまりの怠けように神様は怒ってしまい、
罰として、二人を天の川の両岸に置き、
離れ離れにしてしまいました。
それからというもの、
織姫は彦星に会えないつらさで
泣き暮らし、ひどく落ち込んでしまいます。
夫婦をこらしめようとした神様でしたが、
織姫の様子を見てあまりにかわいそうで、
ある条件を出します。
「ふたりが真面目にしっかり働くなら、
1年に1度、7月7日の夜だけ会わせてあげよう」
以来、織姫と彦星は以前のように
真面目に働くようになりました。
そうして、7月7日の夜、
神様に天の川を渡ることを許され、
ふたりは再会することができました。
織姫と彦星は
年に一度の七夕を心待ちに、
また一年間、一生懸命に働くのでした。
「七夕」という名称の由来は?
7日の晩=七夕という漢字はわかりますが、
「たなばた」という読みは
どこから来たのでしょうか。
織姫と彦星のおとぎ話は、
中国から伝わったものです。
諸説ありますが、
「たなばた」という名称の由来として
有力な日本の伝説があります。
『棚機津女(たなばたつめ)』というお話です。
村を災害から守ってもらうため、
女性が機屋(はたや)にこもって神様の妻になり、
神様の子を身籠り女性も神になる……。という、子供に簡単には説明できない物語をもとにして、
村を水害から守ってもらうために水辺に
機を織るための神聖な場所(=棚)を用意し、
そこに村の乙女(=棚機津女の役)が入って、
特別な織物を作り、神様に捧げる、
という行事・風習=「棚機(たなばた)」が
できあがりました。
ひとりこもって織物を織る部分が、
『鶴の恩返し』の機織りシーンみたいですね。
中国から七夕が伝わったのは奈良時代で、
当時はふたつのお話が別々に存在していました。
機織りをする女性、という共通点から
ふたつの物語が次第に混ざって、
「七夕(たなばた)」が定着していった
と考えられています。
七夕の短冊の意味は?
七夕には、短冊に願い事を書いて笹に飾る、
というメインイベントがありますよね。
これは、機織りが上手だった織姫にあやかって、
「(織姫のように)上達しますように」という意味があります。
今ではいろんな願い事を書く人が多いですが、
元々は習い事やスポーツの上達を
お願いしたのが始まりだと言われます。
また笹には悪いものを追い払う力があるとされ、
みんなを守ってほしい、という願いも込めて
笹を使用するようになりました。
どの風習にも、理由があるんですね。
まとめ
織姫と彦星のおとぎ話は中国から伝わった。
遊んでばかりじゃダメだよ、という
教訓のお話だった。
日本に古くからある伝説
『棚機津女』をもとにした風習に
機織りの女性がいて、
時代の流れとともにふたつのお話が融合し、
「七夕(たなばた)」となった。
子供に質問されたとき、
ここで紹介した話をさらっと答えてあげたら、
きっと尊敬のまなざしが向くでしょう。
七夕の夜は晴れて、
天の川を渡って織姫と彦星にが会えますように。